警察、検察官が通信傍受できる事件
検察官、又は司法警察官(巡査部長以上の階級の警察官)は、犯罪捜査のために電話や電気通信(インターネットなどPCやスマホの通信)の傍受を行わなければ事案の真相を解決することが困難な事件について必要と認められる場合は通信傍受を行うことが出来ます。
それらの通信傍受に必要な要件などは犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(略称 : 通信傍受法 / 盗聴法 / 組織犯罪対策三法 )に定められています。
通信傍受とは
通信傍受とは、電話、その他の電気通信(PCやスマホでのインターネット通信など)を現に行っている当事者間の同意を得ないで受ける行為のことを言います。
通信傍受が実施される時は、「通信管理者」、又は「地方公共団体の職員」の立会いの元で行われます。
傍受令状とは
傍受令状とは、対象となる事件について通信傍受を許可することを、検察官 又は司法警察員から請求を受けて地方裁判所の裁判官が発行する令状のことを言います。
通信傍受が出来る期間
令状の発行を受けて通信傍受が出来る期間は10日以内と定められています。また、傍受の延長の請求があった場合、裁判官が必要と認めた場合は10日以内の期間を定めて最大30日まで延長をすることができます。
傍受の実施する必要が無くなった時は、通信傍受が出来る期間内であっても傍受を終了する必要があります。
通信傍受の対象となる事件
司法警察官、検察官が捜査のために通信傍受できる事件の法令上の条項は通信傍受法 別表第1及び通信傍受法 別表第2に定められています。
薬物関連
- 大麻に関する「栽培」「輸出入」「営利目的を含む所持」「譲り渡し」に関する事件
- 覚醒剤に関する「原料の製造」「輸出入」「原料を含む所持」「譲り渡し」に関する事件
- 麻薬 及び向精神薬に関する「輸出入」「所持」「譲り渡し」に関する事件
- 阿片に関する「所持」「譲り渡し」「原料となる芥子(けし)の栽培」に関する事件
武器及び爆発物関連
- 鉄砲に関する「無許可製造」「鉄砲弾の無許可製造」「その他の武器の無許可製造」に関する事件
- 拳銃に関する「発射」「輸入」「所持」「譲り渡し」に関する事件
- 拳銃の実包(弾)に関する「輸入」「所持」「譲り渡し」に関する事件
- 拳銃の部品に関する「輸入」「所持」「譲り渡し」に関する事件
- 爆発物の使用に関する事件
不法入国関連
- 密航者を不法入国させる事件
- 密航者の「輸送」「収容」に関する事件
その他の刑事事件
- 放火に関する事件
- 殺人に関する事件
- 傷害に関する事件
- 監禁に関する事件
- 窃盗、及び強盗に関する事件
- 恐喝に関する事件
- 詐欺(ネットを利用した行為を含む)に関する事件
- 児童ポルノを製造、及び提供する行為に関する事件
- 組織的に実行する殺人に関する事件
傍受の禁止
以下に挙げる職の人との業務に関する通信は、その傍受をすることが禁止されています。
- 医師
- 歯科医師
- 看護師
- 弁護士(外国人弁護士を含む)
- 弁理士
- 公証人
- 宗教(被疑者でない場合)
処罰
通信傍受の捜査や調査に関し、権限を有する公務員が通信の秘密を侵す行為をした場合は、3年以下の懲役 又は100万円以下の罰金に処されます。
備考
このページの内容は2020年 4月1日
施行の犯罪捜査のための通信傍受に関する法律を元に作成しています。
通信傍受行為に関しての詳細は通信傍受規則に定められています。